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 阿佐田哲也 博打語録


  このページは、阿佐田哲也(色川武大)氏の著作を読んだなかで私が個人的に肝銘を受けた賭博に関する名言をまとめたものです

  氏は基本的に麻雀(あと競輪)がメインで、相場をやりませんでしたので著作には相場の「そ」の字も出てきませんが、氏の「賭博でしのぐため」の考え方には相場道にダイレクトに通じるものがあり、私は株
トレードの最高の教科書だと思っています。
 以下に阿佐田氏および、さいふうめい氏(コミック版哲也原作者)の著作群より抜粋した博打名言を箇条書きでご紹介します。自分は阿佐田流賭博論が身体の髄まで染み込むように毎朝夕と読み返したりしてますw

 ※黒字部分は抜粋部分、赤字部分は私個人の蛇足的解釈になっています。

@博打のコツは出る引くを不徹底にしないことだ。勝てると思うときは徹底して出る。勝てないと思えるときは、絶対に出ない。
 
→ノービッグチャンス、ノートレード

A(チンロチンの賭場にて)
 運だけを頼りにベタ張りしていったら、面白い時間を過ごせるだろうが、素人の私が勝てるわけはない。私は遊びにきたのじゃない。給料袋をつくりにきたのだ。〜中略〜 隣のドサ健も、私と同じくめったにコマを張らなかった。私が来る前に大分ウカっているらしいので、私よりはるかに豊かなタネを持っているはずだが、ひどく慎重なのだ。

B(同じくチンチロで)
 張り子としても私は用心に用心を重ねて、ここぞと思う時がくるまでは二時間でも三時間でも黙って見ていた。実際それは根気のいる仕事だった。
  →ビッグチャンスがくるまでは徹底してケン

C「わかるときだけ行こう! わからないときは忍の一字だ!」
 
→わかんないものには触らない。

D「博打は商売だからな!」
 
→トレードもお楽しみ感覚でやってはダメ。仕事だと思い期待値の高いチャンスを地蔵になって待ち続けること。

Eドサ健「俺にゃあ自分の運の限度ってものがわかってる。年寄り臭え言い方だがそうなんだ。だから限度まで運を使って勝ったら、その晩はさっとやめちまうんだ。商売だからな」
 
→メンタルの充実にかげりが見えたら引くということ。集中力や体力の限度がきて手が雑になる前
にやめる、とも解釈できる。

Fオンリこそ麻雀の命なり
 →阿佐田賭博論のなかでも肝中の肝の部分かも。デイトレにおけるオンリとはケンおよび早めのLCと解釈できる。しょぼい配牌(難しい相場)で突っ張って失敗してもつまらない。

G(出目徳と哲のコンビが圧勝している状態で)
 出目徳と私は、ただ牌がくるままに自然に打っているだけだった。もう仕込みもしなかった。七分三分で戦っている時はただ相手にもたれかかっていればよい。力を入れる必要はない。肩に力を入れて大股に出て行くと、かえって腰が浮いて、うっちゃりを喰う。出目徳の長い勝負経験がそうさせる。私が手役をつくってリーチでもかけると(飜を落とせ、手を上げるな!)としつこくサインがくる。
 
→勝っているからといって慢心して周りを見ず不用意に攻め一辺倒の気持ちでいると、つい油断が出て大きなしっぺ返しを喰らうことも多いので気をつける。

H(ドサ健がボロ負け状態のときに)
 本当にどうしたら良いのだろう。このまま二、三チャンじっと隠忍して失策をふせぎ、消極的に徹していればやがて風が変わってくる。それもわかっている。だが、あと(半荘)三回なのだ。

I落ち目になった場合の特効薬はただひとつ。二荘か三荘じっとおとなしく首を下げていて、あがりにかけないことだ。その間エラーなしで失点を最小限に食い止めることができれば、ツキが元に戻る機会が訪れてくる。
 
→ツキやメンタルが崩れ何をやってもダメになったら、ヤケを起こさずにじっと隠忍してツキとメンタルの回復を待つのが大事。

J(女衒の達が破産寸前のボロ負け状態になったときに)
女「もうおやめなさいよ達さん。日が悪いのよ。運に逆らってもつまらないわ」
 
→ダメな日は何をやってもダメ。アカンと思ったら潔くあきらめて相場を切り上げるのがベストチョイス。

K勝負を得意な局面に限定することが重要。何でもかんでも打てばよいというものではない。

L負け慣れしてはいけない。優位性がないとわかった勝負は今後きっぱりとやらないこと。

 
→私の場合で言えば、「相性の悪いデナグリ・チワワ辺りや苦手な低位株なんかは絶対に触らない!」というようなこと。

M玄人なら運否天賦の博打はようせん。あんさんかてそうやろう。
 
→丁半博打のような当たるも八卦の勝負をしてはいけない。あくまで大チャンス!と確信できるタイミングがくるまでは張らない。

Nどんな博打でも、自分がしっかりセオリーをつかんだと思ったとしても、自在に勝てるようになるにはみっちり5年はかかります。博打はいつも瞬間の決断を強いられるので、理屈じゃなくて、身体がすぐ対応できなければね。だから非常識な事態に対する経験をうんと積まなくては。
 
→株においてもまったくその通りだと思う。日々失敗を重ねながらも、なんとか5年生き残ることができれば、それなりのトレーダーになれるということか。

Oギャンブルではアツくなるな、と言われる。アツくなれば勘も鈍る。あとは「弱り目に祟り目」でドロ沼にはまるだけだ。
 →ごく当たり前の内容なんですが、アツくなった頭を抑えること。これがとてつもなく難しい。トレーダー永遠のテーマですね。

Pエラー、凡ミスを減らそう。危険牌を無茶なときに切ってはいけない。当たり前のことだが、一晩やるとエラーの多い人が結局負けてしまう。
 →目の前の儲けばかりに目が行って、リスク計算ができない精神状態に陥ったら危険。負けが込んだ局面こそ視野狭窄にならずに、意識して広い視野を持とうとすることが大切だと思う。

Q「強い感じの人」は基本的に少しでも高目の役を追及するのである。彼らは自分なりの根拠に確信を持っている。そうでなく「弱い人」は自分に自信がなく和了れる確率が高くなるよう安い手でまとめようとする。
麻雀のプロは、自分が和了ったときの配当額と危険率を適宜算定しながら、突っ張るか降りるかを決定していく。ここで的確に突っ張ることができる人が、平たく言えば大局観が良い人ということになる。

オマケの1
cis氏「上がる確率と上げ幅、下がる確率と下げ幅を比べて明らかにリターンの方が大きいと思えば、もうマウスをクリックして買っていますね。
 →上級者トレーダーは、インする前のリスクリターンの計算能力が優れている。そして、チャンスだと思ったら突っ張る。逆に分が悪いと思ったベタ降りするというメリハリの効いたトレードを繰り返しているのだろうと思う。

オマケの2 (2chでの拾いもの。個人的に肝銘を受けたレスでした)
235 :山師さん2012/12/26(水) 22:39:43.21 ID:/Z/SZ8TA

株はボクシングで例えるとわかりやすいな
被弾せずに勝つのは無理
ゆえにディフェンスが重要
苦しくなればなるほど、大勝を狙ってリスクリターンの悪い大振りが増える
命綱である体力(資金)はどんどん削られる
一発KOパンチを貰ったら終了(退場)
今は、だいぶ苦しくて大振り始めた段階だな

オマケの3
森巣博氏「博打をする人たちは長っ尻でなければならない。見である。勝負時まで待つのだ。こらえ性のない人、そそっかしい人、早漏気味の人、皆負ける」
 
→大チャンスがくるまではせこせこ動かず、じっとケンしておくことの重要性。阿佐田先生の考え方もまったく一緒ですね。

R暗黒街の一流の打ち手であるが、我慢で日本一と思える男がいる。この男の麻雀は我慢して悪牌を振らないだけの戦法だが、二十時間でも五十時間でも我慢が効く。
 →徹底して悪手を避けることに集中し、確実にとれるチャンスを待つ。
これもノービッグチャンス、ノートレードの基本を貫ける精神力を持てる者こそのみが一流になれるということを言っているのだと思う。

S大きく勝つには、大きくバランスを崩すことだ。その勇気が出ない。どうやって大きくダイヴィングして破滅の穴を飛び越えるか。将棋でも上位戦では勝つ方は必ず危険を冒しているという。ギャンブルはコントロールとダイヴィング、この二つの能力を併せ持って始めて勝者となれる。ただし、上記に述べた才能には天性のものがあり、凡夫が偉人を見習っても大怪我を負う。 
 
→短期トレードの基本はメンタルコントロール。しかし、大きく勝って自分の限界を突き破っていくためには、ここぞというときに渾身一滴の勝負を賭けられる度胸をもまた持ち併せていなければならない。

●21 勝ちしか知らない人(勝率が非常に高い人)は、全勝意識にとらわれがちになる。下降運に入ると、無駄な力みが出て、思わぬ大敗を喫する。負け方を知らないということは大きな欠点だ。小さく負けることに慣れ、受身の感覚を身につけることが大切。
 →全勝主義に身が染みて慢心してしまうと、地合いが悪化したり、悪手を打ったときに意地を張ってLCが遅れ致命的な大敗につながる。小負けは敗北ではなく勝つための経費と考え、小額LCの連発は、むしろ好ましい戦略ととらえるべき。

●22 漫画『哲也』より 
房州から哲也への言葉「おまえは金という緩衝材に守られていたんだ。それが打牌に甘さを生む。それじゃ一生勝てねえよ。打牌から甘さを消せ」

 →これもかなり含蓄の深い言葉だと思う。好地合いのおかげで少しばかり資金が増やせたからと舞い上がっていると、必ずトレードが甘くなる(大味になる、雑になる)。資産が増えてきても、常に緊張感と集中力をみなぎらせて日々の相場に挑みたいものです。

オマケの4
徒然草より
「双六の上手い名人に、その手立てを尋ねたところ、勝とうと打つべからず。負けずと打つべきなり。どの手が手痛く負けない手かを案じてその手を避け、一日たりとも遅く負けるべき手を打つべし」
 →オフェンス一辺倒のスタイルでは、地合いが難化すればあっという間に素寒貧になるまでひん剥かれる。相場の雰囲気が悪くなれば、儲けるよりも負けないトレードスタイルにシフトすべき。そうでなければ相場で長く生き残ることは不可能。

オマケの5
漫画『嘘喰い』より
「思い込みと決め付けは勝負事においては絶対のタブー。勝負の前の決めつけは、読みがはずれた場合即死につながる。読みと準備は大切。ただし、決めつけてはいけない。
 
→INして読みがはずれていたらすぐにLCを行なえる、臨機応変かつ柔軟な思考こそが必須。

オマケの6
ブログ「傷だらけのトレーダー」様(元億トレ)の記事より
(1)LCを確実に実行してこつこつとやっていれば、いずれ必ずガツッととれる時がくる。よく観察してしっかり待つ。無駄なエントリーはしない。ダメだと思えば早々に手仕舞い。
(2)上手いトレーダーとそうでないトレーダーとを分ける最も重要な要素は「損失を回避する能力」だということ。損失拡大を最も恐れよ。

オマケの7
世界一のプロゲーマー梅原大吾氏著『勝ち続ける意志力』より
↑有名株ブロガーのパリテキ氏が推奨なさっていた本です。
(1)常勝を妨げる壁のひとつにゲーム(相場つき・銘柄)との相性の問題がある。強さをキープするためには様々な要素(総合力)を兼ね備えておかねばならない。そこを自覚しない限り、いつまで経っても偶然に身を任せることになるので、結果「あのゲーム(相場つき)だけは強いけれど……」という過去の人になってしまう。
(2)プラスとマイナス、その両方の分析を努力して続けない限り、勝ち続けることはできない。ひとつの勝ち方にこだわるような人は、必ず堕ちていく。〜中略〜
ほとんどの人は実力がつくほどに自分のスタイルというものを確立してしまう。自分の得意な技ばかり使う人は、その形にしばられてプレイ(トレード)の幅が狭まり
結局は壁にぶつかってしまう。
(3)麻雀では結局、我慢すること、引くことを覚えてから強くなった。

まとめ
「目指すべき理想のトレーダー像とは」

勝てるという確信の持てるタイミングまではじっと動かず、なおかつINした後万一逆をいった場合のリスク(ロット、LCライン、許容LC額)を冷静に計算できる。このフォームをいついかなる時も徹底して保ち続けられるトレーダー。

と、自分は現時点では考えてます。そう思っているだけでまだまだこれらの賭博哲学を、体に染み込ませることは全然できていませんが。
長期トレやシストレの人とかの思考法はまったく違うかもですが、自分はとりあえずこれらの考え方を少しでも血肉のものとできるように一歩一歩、失敗と反省を繰り返しながら成長していきたいと思っています。